テンプリズム
時は、はるか昔か、それとも未来か……。
強大な力を持った「骨(グウ)の国」が世界中を脅かしつつある、
そんな時代の架空戦記。
主人公のツナシは、「骨の国」によって国を追われた
旧カラン王国の王子である。
右目が生まれつき硬い眼帯に覆われていることから
家臣たちは、ツナシこそは古くから語り継がれる
「金色の目を持つ救世主」ではないかと
期待を寄せているのだが……。
当の本人はまったくピンと来ていない様子。
得体の知れない「機械兵」を操る「骨の国」に
太刀打ちできるなんて思えない。
ユイの命を懸けた芝居の甲斐あって、
初めてツナシの心に、母国カランを守りたいという気持ちが芽生えるのだ。
そして
ーー覚醒のときは訪れた!!
ついに己の能力を認めたツナシは
故国を復興させるために、
「骨の国」に立ち向かう。
何のために闘うのか。
だれのために闘うのか。
味方も敵も、一人ひとりそれぞれ異なる事情や
考え方を持っている。
彼らが「闘う意味」を……
戦乱の世で「いかに生きるか」を問い続ける姿は実にリアル!
まさに『シャカリキ!』『め組の大吾』『昴』『capeta』など熱い人間ドラマを描いてきた曽田正人ならでは。
登場人物とともに泣き、笑い、怒り……
そして、進むべき道を考えさせられる作品だ。
熱血するには理由がある!
<文・粟生こずえ>
マンガ・児童書分野を中心とする編集者&ライター。宝島社「このマンガがすごい!」のメインライター。
高円寺「円盤」にてブックトークイベント「四度の飯と本が好き」毎月第2水曜日開催中。
ブログ「ド少女文庫」(http://ameblo.jp/doshoujobunko/)